ミステリー作家戸松淳矩 あさっての日記

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help リーダーに追加 RSS 法月綸太郎さんとの御縁

<<   作成日時 : 2007/03/16 03:37   >>

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さて「ミステリー作家の人となりをご紹介する」シリーズの第2弾は、法月綸太郎さんです。というか、これって、いつからシリーズになったんでしょうか。私も気がつきませんでした。まあ、そんなマヌケな前フリはともかく、じつは法月さんと私はけっこうふしぎな御縁があるんですよ。
 まず法月さんは島根県松江市のご出身で、京都大学に進まれてからは京都にお住まいになっています。私はと言えば、母方の郷里が同じ島根県の大田市で、松江には今も親族が住んでいます。伯父たちはみな松江の高校を出ていて、これがどうも法月さんの母校らしい。そして私自身は京都で生まれて、子ども時代を伏見で過ごしています。…ふしぎな縁、と言ってもそれだけなんですけどね。なァんだ、と思われるかな?

 けれど、私の言う「御縁」はそればかりではないんです。『剣と薔薇の夏』がノミネートされた第58回の協会賞。そのとき、もし法月さんが選考委員の任に当たっていなかったら、と考えると、そう思わないではいられません。これは今だから言えるのですが、ノミネートが決まって、選考委員の顔ぶれを見たとき、私は法月さんと有栖川さんの評価がキビしいかな、と思いました。というのも、選考委員はどうしても自分の得意ジャンルの作品にはきびしくなる、というのが協会賞に限らず、一般的な文学賞の傾向のように言われているからです。自分のジャンルだと、その作品の欠点が見えやすいからでしょうか。
 『剣薔薇』は歴史小説と本格ミステリーの融合を狙った作品で、お読みになった方はおわかりでしょうが、ミステリー的な部分はけっこう荒唐無稽な色彩がある。そことリアリティを重視した歴史小説的な描写を、いかに不自然でなく、ひとつにまとめるか。ここをクリアするには、それに向いた文体を創り出すことが必要で、リアルに傾きすぎてもダメだし、いかにも作り込んだ物語文体でも適さない。そのへんをしくじると、作品が水と油みたいに分かれてしまうことになります。
 本格ミステリーの部分が歴史小説に呑み込まれてしまっている、という批評はところどころで耳にしていたので、本格派の代表格であるご両人がどう評価されるか、やや不安に感じていました。

 あとで選考会の様子を同じく委員だった直井明さんにお聞きしたら、「法月さんは最初から『剣と薔薇』を推していましたよ」とのことで、ミステリチャンネルの選考委員インタビューでも法月さんは「本格ものとして骨格がしっかりしている」と評価してくださっていました。私としては、法月さんのお墨付きを戴いたことで、ようやく『剣薔薇』が本格作品として認められたような気がして、とてもうれしく思ったものです。

 当日は授賞式パーティのあと、版元が主催する二次会があります。東京創元社の会場は新橋のブリティッシュ・パブ。貴志さんの版元・角川書店も銀座のどこかで開いていたので、法月さんがこちらにお見えになったのは、かなり時間が経ってからでした。
 さっそく改めてご挨拶をして、そのままグラス片手に、パーティでのエピソードなど、あれこれ気ままなおしゃべりを始めたのですが、何かの拍子にふと会話が途切れた。ところが、そのあと、真顔になった法月さんはいきなり驚くべきことを言い出したのです。

 …明日か、あさってに続きます

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