(元)ミステリー作家T・A  あさっての日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 桂米朝

<<   作成日時 : 2015/03/22 13:48   >>

面白い ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

桂米朝は何をやっても上手い落語家でしたが、私がいちばん好きなのは「百年目」。
堅物で通っていた番頭さんが、じつはたいそうな遊び人で、お花見どきに、ど派手な着物をつけて、芸者衆と船遊びをする。それをお店の旦那に見つかってしまうというお話です。

上方落語ではよく知られたネタですが、これは人物描写がむずかしい。
お店では堅い一方なのに、遊んでいるときは別人のようにはしゃぐ番頭さん。酸いも甘いも噛み分けた洒脱な人でありながら、番頭を叱る場面では、きっちり釘を刺す厳しさもほの見える旦那さん。
米朝師匠の、この旦那の説教の場面は、ユーモラスななかに、番頭はじめ店の者に対する深い慈愛が感じられて、まさに人生の達人芸を思わせます。

「地獄八景」は滑稽噺の傑作でした。
とくに亡くなって地獄に来たばかりの亡者が、地獄にも文化会館があって、そこで講演会が開かれているのを知って驚くシーン。
「へえー、講師は有島武郎、太宰治、三島由紀夫……えらい小説家ばっかりですなあ……なになに、テーマは『自殺について』」
というくだりと、
「ほぉー、演芸会もありますのんか。縁者は桂文楽、古今亭志ん生、三遊亭圓生。…あら、桂米朝と書いてありますが、あれはまだ死んでおらんのと違いますか」
「よくご覧なさい。名前の下に『近日来演』と書いてある」
というくだりには笑わされました。

とうとう米朝さんもあちらに行かれてしまいましたから、今頃は「本日初演」の張り紙が出ているのかも知れません。

米朝さんのマクラもおもしろかった。
ちょうど北朝鮮が国際公約を破って核開発を進めていたころのこと、こんなマクラを聞いた覚えがあります。
「こないだ街を歩いておりましたら、後ろから来た中学生の自転車に当てられましてな。まあ大したケガもせんですみましたし、中学生のことだから、『危ないやないか、気イつけえッ』と小言食らわしておしまいにしたんですが、翌日の朝刊を開いたら、こんなちっぽけな事故のことがでかでかと載っておりましてな。驚きましたわ。
新聞の一面トップに『米朝激突!』」

あの、はんなりとした語り口がもう聞けないかと思うと残念ですが、私も年を取って来たので、好きな作家や落語家やミュージシャンなどの訃報を聞いても、昔ほど痛切に感じなくなってきました。
人はいつか去っていくもの。
むしろ必ず消え去るものだからこそ、命も芸も尊いのですから。
ま、私自身、地獄八景めぐりするのもそう遠いことではなさそうですしね。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
面白い 面白い
ナイス ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
桂米朝 (元)ミステリー作家T・A  あさっての日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる