(元)ミステリー作家T・A  あさっての日記

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zoom RSS 拙著へのすてきな書評

<<   作成日時 : 2013/02/26 08:59   >>

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昨年9月末に出た、新刊『うそつき』ですが、最近、すてきな書評を書いてくださっている個人ブログを、いくつか見つけました。見つけました、というか、どっかで誰かがホメてくれていないかなー、と探していたんですけど(汗)

プロの書評家では、野崎六助さん、山前譲さんに書評を戴きました。
もちろん、プロの目からどう評価されるかは書き手にとって大きな問題ですが、お金を払って読んでくださる読者からのコメントは、別の意味でとても大切です。
自分の意図したところがちゃんと伝えられたのか、自分がおもしろいと思ったものが読者にもおもしろいのか。そこが大変気になります。

今回ご紹介するのは、「私の頭の中の本棚」というブログ。

「私の頭の中の本棚」さんは、『うそつき』について、こう批評してくださっています。

《前作「剣と薔薇の夏」から8年後の新作だという。
だが私にとっては、この2作の間はとても短かったから、前作とはガラッと変わった作風の本書にいささか戸惑いながら読み始めた。
だが、すべてのものに対しての緻密な描写、ちょっと古臭いと感じる引用(「古畑任三郎」じゃなくて、今なら「相棒」だろう!)、文学や歴史等の該博な知識など、読み出してすぐにやっぱり戸松氏ならではの作品だと思わされた。

石館朋也は鎌倉市の古くから続く農家の息子で、家が土地成金で裕福な為、ぐうたらな生活を送る青年である。
一応、大学の法科を出ているため、そのうち司法試験を受けて法曹資格を取ると言い続けているが、一向に勉強に励む風もない。
実は、彼は生来のうそつきで、それがどんなに虚勢であったとしても、そうして他人から注目を浴びることが出来れば、その瞬間が何よりも楽しいと思う人間だったのである。

そんな彼がある日、殺人事件と思われる現場に遭遇する。
そして、現場から死者のバッグを盗んで持ってきてしまう。
そのことから彼は嘘に嘘を塗り重ねる羽目に陥るのであるが…。

まず、この主人公の虚栄の混じった嘘だらけの生活振りが嫌悪感をかき立てられて、読んでいて楽しくない。
楽しくないが、このうそつきの行動力には驚かされた。
何もそんなにしてまで自らをますます窮地に追い込むことはないだろうと、読者はハラハラさせられる程である。

この物語には、もうひとりの主人公が登場する。
「バロン・ヒッポ」と名乗る作家の卵が「鬱々な日常」を独白するパートである。
こっちは、その日常が、最初の方はペンネームでの描写なので、朋也のパートとどう交錯してくるのか興味深かったのだが、最後は2つのパートが絡み合って複雑な展開となり、作品中ではそのどちらかしか知らない情報を、どちらも知ることが出来る読者にはなかなか面白かった。

バロン・ヒッポにとっては、「わからないことが多すぎる。あまりにも多すぎる」展開だったかも知れないが、読者には最後はすっきりと納得のいく着地点だったと思う。

ミステリーとして、満足感の大きい作品であった。》

……どうも、ありがとうございます!
とくに最後の一行。
このひとことを戴いて、しこしこと悩みながら700枚書いていた日々の苦労が、一瞬で吹き飛びました。
次の作品もがんばろう、いや、もっと良い作品にして、読者のみなさんに喜んで戴きたい、という創作意欲がわいてきます。

なにしろ私は小心者ですから、本を出す度、作品がどう読まれているのか、いろいろ不安に苛まれます。
こんなふうに、自分の狙っていたポイントをずばりと突いてくださる批評を戴くと、「自分の思いが読者に届いているんだ!」と、とてもうれしくなるのです。
片思いが報われる瞬間、とでも申しましょうか
いやあ、うれしいなあ。

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2013/07/03 09:34

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内 容 ニックネーム/日時
少し前に「うそつき」読了しました。ミステリーとしては「私」の正体が途中で読めてしまったのと、その「私」が誰であるかということがわかったときに、これまで見えていた景色が崩壊するまでには至らなかった(と自分には思えた)のがちょっと残念に思えました。私の読解力不足の可能性大ですし、そもそも戸松様はそういうことを意図していなかったかもしれませんが…何かが読者に伏せられているような書かれ方をしているお話は、どうしても期待値が高くなってしまいます。伏せられていることが読者に分からないように書かれているもののほうが、成功した時の読者の驚きは大きいでしょうか。「葉桜」や「ハサミ男」みたいに。

素人がなんだかとりとめなく偉そうなことを書いてしまいました。物書きの卵を育てていく過程はとても面白く読みました。編集者が新人を育てるのはこんな感じなのか、いやいやさすがにこんなヒヨコにもなっていない段階でプロの編集者が関わるということはないか、とかいろいろ想像しながら読みました。
若月
2013/02/26 19:37
コメントありがとうございます。そして読んでくださって、まことにありがとうございます。
「私」が誰なのかというポイントは、お察しのとおり、それほどメインの問題ではありませんでした。まあ、サービスのひとつと言いますか、ある程度意外性をこめて、びっくりして戴ければ、というつもりです。若月さんはミステリーを読み込んでおられるので、途中で見抜かれてしまったようですね。残念!
私が力を入れたのは、「うそつき」が特異な性格ゆえに追い込まれていくサスペンスがまずひとつ。ここでは読者に「こいつほんとに馬鹿だな」とイライラしつつハラハラして戴きたかったのですね。
もうひとつは「ヒッポ」が小説修行していくプロセスと、これはたぶん○○モノだな、と予想させておいて、そうではない結末となるところ。法月綸太郎さんは「終盤がスリリング」と評してくださいましたが、読者にもそう感じて戴ければ、と思っておりました。
プロの編集者が新人をトレーニングするのは、だいたいあのような感じです。もちろん作家もいろいろだし、編集者もいろいろなので(鬼コーチタイプから自由放任タイプまで)、一概には言えませんけれど。
戸松淳矩
2013/02/27 09:27

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