ミステリー作家戸松淳矩 あさっての日記

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help リーダーに追加 RSS 人間はみな「変態」、ゆえに児童ポルノ規制に異議あり(1)

<<   作成日時 : 2008/03/29 02:41   >>

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ずばり、結論から言いますと「児童ポルノ規制」運動への反対論です。なんだかパスカルとデカルトの超有名な箴言をパクリ合成したみたいなタイトルですが。

この件については、すでにネット上でたくさんの意見が出されているようです。私がちょっと拾い読みした範囲では、反対論が圧倒的。やはり日ごろネットにふれる機会の多い人は、反対するほうが多いでしょうね。

 私にも小学生の姪っ子がいますから、児童への性的虐待をなくそうという、この運動の趣旨には大賛成です。だがしかし、このやり方ではダメだ。ダメなばかりか、有害でさえあります。見当外れなうえに、大変な危険性をはらんでいるからです。

 まず先にお断りしておきますが、私自身はいわゆるロリコンではまったくありません。ここでいう「児童」は18歳未満だそうですが、18歳未満の女の子なんて、もともと興味ないもんね(性的に、ですよ。人間としては興味がありますが)。男の子はなおのことです。それに二次元ポルノにも関心はない。過去に所持したこともないし、買ったこともない。ちらりと見たくらいはありますけど、ただアホらしいだけでした。
 ですから、こういうものがこの世からなくなったとしても、私自身はなんの痛痒も感じません。さらにいうと、いわゆるロリコンだとか、二次元児童ポルノの愛好者だとか、その種の人たちとはあまり付き合いたいとは思えない。まあ率直に言うと、理解できないし、ちょっと気色わるい(これを読んでいる方のなかにそういう趣味の人がいらっしゃったら、ごめんなさい)。
 けれど、今回の規制運動については、個人的な趣味嗜好はべつとして、反対しなければならないと思います。

 まず、規制運動の母体が日本ユニセフ協会。この組織は国連のユニセフと直接の関係はないそうです。いわば募金徴収の代行機関だそうで、民間組織です。日本人は国連をたいへん理想化する傾向があるので、ユニセフと聞いただけで、「あ、これは良心的で正しい運動に違いない」と思い込むかもしれない。しかしそういうものではない、というのがまずひとつ。

 次に、この運動がめざしている規制法案では「単純所持」、つまり個人的にこっそり持っているだけでも罪になる。そして実写でなく被写体の実在しない、マンガ、イラスト、ゲームなどもダメ。18歳以上の人が児童を演じたものもダメ。たとえば19歳の女の子がセーラー服を着て性的な姿態を見せただけでもアウト。

 参加しているなかに森山真弓元法務大臣をはじめ、自民・民主・公明など複数の国会議員が名を連ねていますから、これはかなり本気でしょう。旗振り役はタレントのアグネス・チャンですが、こんなふうに言っています。
「性的虐待は犯罪。ポルノを持ってもだめ、まんがを買って読んでもいけない、と訴えていくべきです」
 …そんな論法が通るなら、「殺人は犯罪。殺人を扱ったミステリーを読んでもだめ、本を買ってもいけない」んじゃありませんかね。

 ネットに出ている反対論はいろいろありますが、大別すると「言論の自由を奪うので憲法違反だ」というものと「えん罪を生む危険が高い」というもの、そして「これが拡大していけば重大なネット規制、サブカルチャー規制につながる」。
 どれも説得力のある反論だと思います。

 まず問題なのは、マンガやゲームを好むことがほんとうに児童への性的虐待の引き金になっているのかどうか、きちんとしたデータが示されていないこと。たしかに、性犯罪者を捕まえてみると、その種のマンガやゲームを愛好していたというケースが多い。
 しかし、そういうものを好んでいても性犯罪を犯さない人のほうが、圧倒的に多いはずでしょう。無差別殺人事件を起こした犯人が、残虐なマンガやゲームを愛好していたという報道もよくなされますが、同じことが言えます。マンガやゲームがなかったら、そんな事件は起きない、という説得力ある説明がないのです。要するに、たんなる印象で言っているだけではないのでしょうか。
 もちろん、まったく影響がないとは言い切れない。しかし、その影響の在り方については、情報媒体の側にも、受け手の側にも、もっと精細な仕分けが要ると思う。

 たとえば一般のポルノがきびしく取り締まられていた30年前と、規制がゆるくなりだした20年前、ネットなどで事実上解禁になっている現在とを比べて、性犯罪がどのくらい増えているのか、それとも有意な変化は見られないのか、あるいは減っているのか、そういうデータをきちんとそろえる必要があると思います。
 それがしっかり示された上で、やはり関連があるというなら、世論もある程度、規制を受け入れるでしょう。ただし、いま言ったように、ゾーンニングを丁寧にした上でないと、いけませんけれど。刃物があるから殺傷事件が起こるのだといって、ミリタリーナイフから果物ナイフまで規制するようなものではダメなのといっしょです。今回の規制案の荒っぽさは、これに近いと思います。

 そして冤罪。これは怖いですよ。なにしろ単純所持でも逮捕されるんだから、他人を陥れるのは簡単だ。痴漢冤罪よりもずっと簡単。
 たとえば陥れたい相手のパソコンに、こっそり本人に気づかれないようなフォルダを作っておく。そして、そこへどんどん児童ポルノを送信する。ある程度、溜まったところで当局に密告する。ハイ、家宅捜索で一発逮捕!…これ、無罪の立証はむずかしいと思いますよ。
 もっと単純に、相手の仕事場のデスクに、児童ポルノ写真やマンガを潜ませておくだけでもいい。教育関係や法曹関係、宗教家、公務員、大企業社員…なんかだったら、逮捕の時点でおおっぴらに報道されちゃって、あとで無罪になったとしても社会的には葬られてしまいますからね。
 …その点、物書きとか絵描きは、はじめから道徳的であることを期待されてない分、ダメージは少ないでしょうけど(笑)。いや、笑ってられませんって。




 







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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
全く同意です。
アメリカからの圧力もあるとかで、とても怖いです。
石ころ
2008/03/29 17:25
アメリカでは囮捜査もやってるらしいですね。児童ポルノ映像あります、てな偽サイトを作って、そこに入ろうとクリックしただけで逮捕されるとか。懲役四年から五年だそうです。…さすが禁酒法を作ったほどの国だけあって、怖さも段違いですね。日本もそのうち規制のグローバル化とかいって、そうなるかもしれません。
戸松淳矩
2008/03/30 19:38

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