ミステリー作家戸松淳矩 あさっての日記

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help リーダーに追加 RSS 島田荘司さんに創作テクを教わった話

<<   作成日時 : 2007/04/11 05:31   >>

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「ミステリー作家の人となり」シリーズの第4弾は、本格派の巨匠・島田荘司さんです。
といっても、島田さんと個人的にお話しさせて戴いたのはまだ2回だけで、じっくりお話を聞けたのは1回だけなんですが…。ただしその1回がですね、なんとサシで2時間! 思わぬ創作指導までして戴いて、ほんとうに贅沢な時間を堪能させて戴きました。

 島田さんの第一印象は「思ったよりデカイ!」。これに尽きます。それまで写真でしかお顔を拝見していなかったもので、長髪にサングラス、ニヒルでダンディな風貌から、なんとなく痩せて神経質そうな、いかにも芸術家タイプをイメージしていたんですよ。ところがお会いしてみると、まず予想したより背が高い!目測ですが180pくらいか、それに近いと思われます。そしてなにより意外だったのは、お顔は芸術家なのに筋肉質のスポーツマン体型だったということ。肩幅が広いし、二の腕も太い。ウエストはしっかり締まっているし、50代後半というお歳を考えると、これは相当に鍛え込んでいらっしゃるに違いない、とまず思いました。ひとくちに言って、強そう。ケンカなんかしたら、たちまちねじ伏せられそうです。…いや、するわけないけど。

 お目にかかったのは『摩天楼の怪人』を出された少し後で、吉祥寺にあるミステリー専門書店trick+trapに、島田さんがサインに来られたときのことでした。この日はサイン会ではなくて、店置きの本にサインを入れに来られたのですが、たまたま私もその日吉祥寺をぶらぶら歩いていた。trick+trapにはご存じのとおり戸川さんがいらっしゃるので、近くに行ったら二度に一度は寄るようにしていたんですね。そういうわけで、この日も島田さんが来ていらっしゃるなんてことは、つゆ知らなかった。
 いつものように、「コンチャー」と呑気に入っていきますと、お店のなかが馬鹿に混んでいる。平日の昼間にしては盛況ですねー、とレジにいた戸川さんにご挨拶していると、奥からヌッと大きな男が現れた。洒落たシャツを袖まくりして、細身のジーンズを穿き、見るからに「こりゃ、一般人じゃないな」というオーラを漂わせています。その人が、眉を寄せた不機嫌そうな顔でこちらをジロリと一瞥した。

 誰? どっかで見たことがあるような…。けれど、不幸なことに、私は人間の顔を覚えるのがなぜかヘタときています。近所の奥さんと近所でないところで遭遇すると、もうわからないし、モー娘。のツジとカゴは最後まで区別がつかなかった。そんな私の頭の検索装置が「しまだ・そうじ」を探り当てるまでには、たっぷり5秒はかかったでしょうね。それもご当人がソファに腰かけて、サインを始めたのを見てわかったんだから、まったく面目ない。島田荘司によく似た男性が、目の前で島田荘司の新刊にサインしているんだから、これでわからなかったらどうかしてます。
 私はおずおずと自己紹介をして、隣のソファに座らせて戴きました。というのはですね、じつは島田さんというのはコワい人なんじゃないか、という先入観があったからなんです。写真で見る島田さんはほとんど笑顔がないし、作品のなかでもかなり手厳しい議論を展開されることがある。きっと、キビしくて理屈っぽい人なんじゃないか。まして私にとっては『占星術殺人事件』から読み続けている、本格の大エース。雲の上の人です。
 変なことを口にして失礼があってはいけない、というので、かなり硬くなってサインをされる様子を見守っておりました。

 さすがに手馴れたもので、サインは芸能人そこのけに流麗だし、速い。でも人気作家の新刊ですから、お店にある分だけでもずいぶんな数になります。それにすべてサインし終えると、島田さんは「この際ですから、ほかの本にもサインしておきましょうか」とご自分からおっしゃった。
 なんせ長い作家生活で、著作点数がハンパではありませんから、これがまた大変です。単行本、ノベルス版、文庫と合わせると、えらい数になる。島田さんは結局、お店にあった著作すべてにサインを入れられました。
 これだけでも「ずいぶん親切な人なんだなあ」と感心していたのですが、いやはや、そんなのはまだまだ序の口だった。  …次回に続きます
 

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