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いちおう小説家という肩書きなんですが、東京創元社から出ている雑誌「ミステリーズ!」で書評欄も担当しています。昨年の8月発売号からなので、まだ5回だけですけれど(ミステリーズ!は隔月発売なので)。そうかといって、プロの書評家に伍して書いちゃるけんね、などという野心はハナからなく、言ってみれば読書日記みたいなものです。 で、どんな作品を取り上げてきたんだい、とお訊きになるかもしれませんが、これがなぜか翻訳ものばっかり。ちょっと列挙しますと、「私を離さないで」カズオ・イシグロ、「ベイカー街の幽霊」ホームズものパスティーシュ、「純粋理性批判殺人事件」マイケル・グレゴリオ、「蜘蛛の巣」ピーター・トレメイン、「異人館」レジナルド・ヒル…といったラインアップ。 とくに後ろの3冊は歴史ミステリー、もしくは歴史風味ミステリーと言うべきもので、完全に自分の趣味で選んでます。それも上下巻組みで、読み応えもたっぷり。なんせ貧乏性なもので、薄い本だと損した気がするし、ミステリーを読んでも「へぇーそうだったんだぁ」という「お得な知識」が少し残らないと、つまらない。いえ、もちろん掛け値なしの傑作なら、そんなことは関係ありませんけどね。でもまあ、ちょっと賢くなれれば、それに越したことはない。 そうは言うものの、国際情勢がどうの金融戦略がどうのといったメンドクサイことはキライなので、ついつい好みの歴史ものとか心理ものに偏ってしまうんですな。専門家はそんなことは言ってられない。それだけでも、プロの書評家さんにはとても敵いません。プロでなくたって、書評サイトを何年も続けていらっしゃるブロガーの方には、素直にすごいなあと敬服したくなります。 日本人作家の本は取り上げないんですか、とたまに言われることがあります。けれど本音を言うと、やはりお顔を知っている人の作品は評しにくい。非の打ち所のない大傑作なら褒めていればいいんですが、ふつうはどこかに一つや二つ、不満な点が残ります。そういうとき、書き方にけっこう気を使わなくちゃならない。書評家ならそれが本来の仕事なんだし、この本はクサしても別の本では褒めるということもできます。でも2ヶ月に1本の書評ではフォローのチャンスも少ないしね。まあ、私が何か言ったからって気を悪くされる方もいないと思うから、ただの取り越し苦労なのかもしれませんが。 それよりなにより、自分が創作している立場だと、何を言っても自分の言葉がそのままブーメランになって返ってくる。これがいちばん怖ろしい。偉そうなことを言ってみても「じゃあ、おまえはどうなんだよ? 言ってるようにできるのか」とすぐに問い返されるわけですよ。プロ野球やJリーグのプレー批判は、テレビ観戦のファンもやりますが、同じグラウンドに立っていたら、やはり軽々しくは口にできないだろうし…。それと似たところがあるような気がします。ものを創って、対価を戴くっていうのは、そういうことですから。 「異人館」の評は今月発売の「ミステリーズ!」に掲載されます。このブログでも、同じ本を取り上げるつもりなので、お暇があったら読み比べてみて下さい。こちらでは、字数も体裁も無視して、もっと気楽にやってみたいと思うので。 雑誌の方は立ち読みでもかまいませんから…なんて言ったら、編集部に怒られちゃうかな。 |
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