ミステリー作家戸松淳矩 あさっての日記

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help リーダーに追加 RSS 東野圭吾さんと初めてお会いしたとき

<<   作成日時 : 2007/03/11 04:37   >>

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デビューしたのが79年、ジュブナイルの3冊めを書いたのがたしか86年くらいだったと思うので、協会賞を戴くことになる『剣と薔薇の夏』を出すまでには、18年のブランクかあります。
 つまりその間、いわゆる文壇づきあいというのは、ほとんどなかった。ですから『剣と薔薇…』を出したころは、いちおう小説家ではあっても、業界の知り合いはほとんどありませんでした。もちろん有名どころの作家などは誰も知りません。
 このブランクのあいだにミステリーはかなり読みましたから、読み手として、好きな作家は何人かできます。海外作家だとピーター・ラブゼイやルース・レンデル、レジナルド・ヒルにP・D・ジェイムズ、ミネット・ウォルターズなど(みんなイギリス作家ですね)がお気に入りで、日本人作家なら東野圭吾さんや桐野夏生さん、宮部みゆきさんをよく読んでいました。あとは島田荘司さんと新本格系の何人か。なかでも東野さんは、デビューされた乱歩賞作品からずっと追いかけていた。

 さて推理作家協会賞を戴いて、ひと月後に授賞式とパーティがあります。私のときは6月の28日でしたかね。受賞者は早く来いと言われていたので、1時間半くらい早めに新橋の第一ホテルに行くと、すぐに別室でケーブルテレビ・ミステリチャンネルの録画撮りがありました。これをすませてから控室へ。部屋には一緒に長編賞を受賞した貴志祐介さんと評論賞の日高恒太朗さんがすでに着席されています。もちろんお二人とも初対面です。
 貴志さんと「受賞者の挨拶はどんなことをしゃべります?」みたいなことをお話ししていると、そこへ深紅のパーティドレスを着たあでやかな女性が入って来ました。これがまあ、なんと桐野夏生さんですよ!
 しかも桐野さんが、私の前の席にお座りになった。もう、この時点で、受賞者としての意識はどこかへすっ飛んでしまっていました。「…き、きりの、なつお…だぁ。…本物の桐野夏生がいるよー」という具合で、完全にただのファンになっちゃってます。このときは知りませんでしたが、桐野さんは短編・評論部門賞の選考委員代表で講評をされることになっていたんですね。ともかく日頃よく読んでいた有名な作家が目の前にいるわけで、私はカチカチに硬くなっていたんだと思います。
 というのも、続けて入ってきた白いパーティシャツの男性をちらりと見たとき、ホテルのスタッフか何かだと思ってしまったからです。てっきりパーティ場のスタッフが協会事務局の人に何か訊きに来たのだろう、と思い込んでしまった。だからその人が何か言ったな、という認識はありましたが、誰に向かって何を言ったのかはまるで耳に入っていなかった。ところが貴志さんがていねいに挨拶されるものだから、「えっ、誰なの、この人?」と初めて視線を上げてみて、驚きました。そうです、もうおわかりでしょうが、それは東野圭吾さんだった。…

   …明日に続きます

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